倒れ付すとも。

自分が満足して死ねればそれでいいのです。

月下美人

イヤホンの向こうの規則正しい寝息を聞く。

吐息と、時折混ざる鼻をちいさく鳴らす声、稀に聞こえる微かな微笑の音、全てに彼女の生を感じてちょっと泣きそうになる。

 

わたしは。わたしは。

 

ずっと前から、生きることをゆるされていたのだ。

本当にもう少しでいい。

多くは望まない。

高望みする度胸はない。

 

それでもわたしは、あなたにあいされていたかったのだ。

 

 

どうか閉じることのない花を。