敬具
愛しています。
新しい職場での研修では死にたい日々の連続だ。
なにをやっても上手くいかないし、目の前でミスが明らかになる度に酷く絶望して謝り倒す。
だけどもう薬をオーバードーズすることも、腕を切る事もずっと我慢している。もう何も、私は自分を傷つけるために売ったりしていない。
1年前誓って初めて春を売った日から、随分遠くまで来た。あの街の鍵を今週には返して、もうそのために立寄るには遠すぎる場所で私は今日も眠っている。清らかな身体にも、あのころ欲しかったいとしいものにも、げんきなこころにも、正しい人間にも、なにもかもまだ遠いままだけど。だけどひとりで、息をしている。
まだ、無様に、なにかあれば誰にでも捨てられるような人間が19年以上息をしている。
ごめんなさいね、と思う。
どうか、どうか、私の愛した人よ、健やかで。私と遠く離れたままで。ただ、愛おしいほどに、狂おしいほどに走り続けて。
愛していました。